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2018年10月17日 (水)

『誤解』

10月7日@新国立小劇場
『誤解』
作:アルベール・カミュ 翻訳:岩切正一郎
演出:稲葉賀恵
出演:原田美枝子 小島 聖 水橋研二 深谷美歩 小林勝也
小川絵梨子が新しく新国立劇場の演劇の芸術監督となったシーズンのオープニングに当たる。
まずはカミュの翻訳劇から。
今回、稲葉賀恵という新進の演出家を指名した。
この稲葉賀恵は、個人的には昨年上演された『野良女』の演出で初めて接した。
(この『野良女』もお気に入りの佐津川愛美が主演だったからで、その演出自体にはあまり目がいっていない)
ものがたり(公式サイトより)
ヨーロッパの田舎の小さなホテルを営むマルタとその母親。今の生活に辟易としているマルタは太陽と海に囲まれた国での生活を夢見て、その資金を手に入れるため、母親と共犯してホテルにやってくる客を殺し、金品を奪っていた。そこに現れる絶好の的である男性客。いつも通り殺人計画を推し進めるマルタと母親だが、しかし、彼には秘密があったのだった......。
この『誤解』は何度も上演されているけれど、私自身は初めて観る作品。
カミュというと不条理ということだけれど、この作品は不条理という前に非常に暗い。
小島聖演じるマルタは、とにかくここでないどこか、陽のあたるところで生活したいと希求している。その母親(原田美枝子)その新しい生活さえも倦んでいる。疲れている。
その二人は、金持ちそうな客を殺しまくっている。その連続殺人でさえも、長く続けているのだが、社会から隔絶されている。
そこにこの2人にとって、かつての現実であった息子、マルタにとっての兄が、身分を隠し、そのホテルに宿泊する。
兄とわからず、いつものように殺しを行う。マルタはそれが兄でわかった後も、さほど大きなショックを受けない。それほどまでに絶望している。しかし、母親はショックを受け、後追いする。そこでマルタは初めて混乱をきたす。絶望より下の絶望。
その突き抜けた絶望こそが不条理ということを示す。
小島聖の最期にみせる長いモノローグが沁みる。
その演出には、新しさというものを感じなく、いわば正統派なのだけれど、このまっすぐさというものが、この作品のすごさ、役者のすごさを引き出していた。
そんな意味では、細やかさがあり、丁寧な演出家であると感じた。

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